全力解説 vol.16-1「妊娠中の食べ物NGリストを徹底検証してみた」生もの・魚介類・ビタミンA編
こんにちは!
産婦人科医やっきーです!
今回のテーマはX(Twitter)での公募によるもので、
最多得票を獲得した「妊娠中に食べない方が良いもの、実は気にしなくて良いもの」とさせて頂くことになりました🐻❄️
(元々は「妊活中・妊娠中」というリクエストでしたが、「妊娠中」「妊活中(不妊治療中)」「授乳中」でそれぞれ考え方が大きく変わってくるので、今回は「妊娠中」のみの解説をします。「妊活中」と「授乳中」は別記事で解説します)
…とは言うものの、これがなかなか難しいテーマでして、
厚生労働省や産婦人科学会が正式に啓発しているものもあれば、謎のインフルエンサーが適当ぶっこいてるニセ情報まで「妊娠中に食べてはいけない」とされる料理・食材は数えきれないほど存在します。
というわけで、ネット上などで「妊娠中はよくない」と言われることの多い料理・食材に加え、
読者の皆様から寄せられた情報をもとに解説していくことにしましょう。
本記事のお品書きは以下の通りです🐻❄️
(ここに書いてある=すべてNG、というわけではありません。念のため。)
①:生もの
①-A:生肉
①-B:ローストビーフ
①-C:レアとんかつ
①-D:生ハム
①-E:ナチュラルチーズ
①-F:生卵
②:魚介類
②-A:刺身、生牡蠣
②-B:水銀を含む魚介類(キンメダイ、マグロなど)
②-C:スモークサーモン
②-D:ネギトロ、魚卵(明太子、筋子、たらこ、イクラ)
②-E:イカ、タコ
③:ビタミンAの豊富な食べ物(レバー、うなぎ)
④:アルコール
④-A:お酒
④-B:お酒を使った料理
④-C:粕汁
④-D:お酒を使ったスイーツ
④-E:ノンアルコール飲料
⑤:カフェイン
⑥:ポリフェノールの豊富な食べ物(アサイー、プルーン、ブルーベリーなど)
⑦:ハーブ・スパイス類
⑦-A:ハーブティー(ルイボスティー、ラズベリーリーフティーなど)
⑦-B:その他ハーブ・スパイス類(ナツメグ、パセリ、バジル、ミント、アロエ、シナモン、大葉など)
⑧:激辛料理
⑨:ヨウ素の豊富な食べ物(ワカメ、コンブ、ひじき、ヨード卵など)
⑨-番外:イソジンうがい薬
⑩:大豆製品(豆乳、黒豆茶、ソイプロテインなど)
⑪:ハト麦茶
⑫:トマト缶
⑬:グルテン(小麦)
⑭:砂糖
⑮:トランス脂肪酸(マーガリン、ショートニングなど)
⑯:ファーストフード
⑰:「体を冷やす」系の食材(キュウリ、ナス、トマトなど)
⑱:トリハロメタン(水道水)
⑲:食品添加物(人工甘味料、着色料、保存料など)
⑳:サプリメント
多いな!!!!!!
この記事の企画当初は「せいぜい5~6品目くらい解説すればいいかな」と思ってたのですが、
読者の皆様からの投稿によってこんなにも成長しました。
先にネタバレしておきますが、最初らへんの食材はまだしも、後半はほとんどが「実は気にしなくて良いもの」に入ります。
そしてほとんどの出典元が謎の妊活専門家(漢方屋か鍼灸師の割合がきわめて高い)と怪しげインスタグラマーであることも情報提供により明らかとなっています。
ちなみに、謎の妊活専門家と怪しげインスタグラマーはキャッチーで適当な情報を発信して「そうなの!?」とビックリさせ、フォローを誘って自サービスに勧誘するのが目的であり、
情報の真偽自体はどうでもよく、むしろ聞いたことない話であればあるほど「この人は他の人が発信しない特別な情報を教えてくれているんだ」と勘違いしてくれるので都合が良いのです。
正体のよくわかんないインフルエンサーとか産婦人科医を自称する謎のシロクマの話を聞くときは、
「ほんとにこいつ正しいこと言ってんのか?」と疑ってかかるのも大事だぞ!!
まあそれはともかく、トマト缶とか小麦とか砂糖とか水道水とかまで全て制限してたらイタリアらへんの妊婦さんが食えるものは無くなってしまいますし、
イタリア人でなくてもこんだけ制限されたら日常生活に支障をきたすレベルなので、
本当にこれらの食材は制限した方が良いのか?その理由は?といったあたりをエビデンスベースで解説していきましょう。
妊婦さんの食生活はオラが守る。
イタリアではトマト派でありたい。(逆から読んでも同じ言葉)
さあはりきっていくぞ🐻❄️
(前提知識を揃えるのが重要なので、部分的な抜粋やスクリーンショットの転載はご遠慮願います)