全力解説 vol.57「黄砂と花粉症と妊娠」
本記事の公開は2026年2月21日です。
2月下旬!!!!
ついにこの冬が終わりに向かうぞ!!!!!
日本は基本的に、1月上旬~2月中旬にかけて最も冷え込み、2月下旬から徐々に気温が上がっていく傾向があります。(参考:気象庁)
そして私やっきーは寒さが大の苦手。
毎年12月頃になると「南半球に行きてぇ…」としか言わなくなり、活動性は著しく低下します。
シロクマキャラのことは一旦忘れてください。
あまりにも毎年寒い寒いと嘆く私に業を煮やしたためか、
今年の冬は妻が無印良品のモコモコ靴下を買ってくれたおかげでだいぶ快適でした。
なにこれモッコモコ。人生で出会ったことないくらいモッコモコ。無印良品さん、この素材でできた全身タイツとか売る予定ない?俺買うよ。
しかし、そんな極寒の1~2月が過ぎれば安心、とも言いがたいのが今の日本。
2~4月をピークとするスギ・ヒノキ花粉、
3~5月をピークとする黄砂という次なる刺客が襲ってくるのです。
もちろん、これを乗り越えてもジメっとした梅雨が訪れ、やがて猛暑の夏が到来し、
その後は10月くらいまで延々「いつまで夏やねん」という気候が続き、
なぜか一年のうちで2日くらいしかない「過ごしやすい秋」が爆速で去り、
あっという間にヒートテックとモコモコ靴下が手放せない冬に舞い戻るのであります。
なんなの?大自然は日本人のこと嫌いなの??
というわけで今回の記事は、以前からちょくちょくご質問をいただくテーマ「黄砂や花粉症が妊娠に与える影響について」です。
「黄砂が増える季節は常位胎盤早期剝離が増える」などの割とシャレにならない報告があったりしますので、今回はそういった報告・論文のエビデンスを検証しつつ、
黄砂や花粉への対策方法をお話ししていきましょう🐻❄️
黄砂って何?
まずそもそも黄砂って何?
昔こんなに黄砂のこと話題になってたっけ?というところから。
黄砂は、タクラマカン砂漠・ゴビ砂漠・黄土高原といった乾燥地域から舞い上がった砂がブワーと撒き散らされて日本(や中国沿岸部・朝鮮半島)にやってくる現象です。
風上で黒板消しをパンパンしてたらチョークの粉まみれになるアレの地球規模版です。
出典:気象庁
砂粒は細かければ細かいほど遠くに飛んでいくため、数千キロ離れた日本にまで来る黄砂はそりゃあもう極小の砂粒となっております。
日本に来る砂粒の直径は4μm(0.004mm)前後。
特に直径2.5μm以下のヤツは「PM2.5」と呼ばれます。このレベルの極小粒子になってくると肺の奥まで入り込むどころか血管にすら入って炎症を巻き起こすので、PM2.5の暴露は肺にも心臓にもメチャクチャ悪いことが確実視されていますし、目・のど・皮膚にも良くありません。
(PM2.5は大気汚染全般で発生しうる物質であり、黄砂に特有の物質というわけではありません。野焼きとかでも普通に出るゾ)
しかも環境省は「明らかにヒトが作った化学物質が黄砂にくっついて来てんだけど」と発表しており、それらが人体に影響を及ぼす影響も無視できません。
人工的な化学物質だけでなく、砂粒に自然に付着する重金属や微生物(細菌・真菌)もいるため、アレルギー・喘息も悪化します。
このように黄砂は想像の100倍くらい体に悪いシロモノであり、
環境科学に関する有名雑誌"Science of the Total Environmental"に掲載されたレビューでは、砂塵が多い日は暴露量が10μg/m3増えるごとに全死亡率が16%上昇するという深刻にヤバめの結論が出ているほど。
黄砂の有害性が判明したのが1990年代くらいから、環境省が本格的に黄砂の観測を始めたのが2003年以降なので、どうしても最近の話題っぽく捉えられがちですが、
基本は自然現象なので実際には少なくとも数千年以上にわたり黄砂が飛んできてたことは確認されています。
(人為的な開発による森林減少や砂漠化も黄砂悪化の一因ではあるようですが)
ちなみにこの「砂がブワーってなってビャーン」の現象が問題になっているのは日本や朝鮮半島に限った話ではなく、乾燥地帯とその風下になりやすい場所なら地球上のどこでも起きます。
現在は中央~北アフリカや中東、オーストラリアの内陸部、南アメリカあたりがホットスポットになっているようですね。(参考)
花粉症って何?
続いては花粉症の話。
黄砂に比べると人体への影響が分かりやすく、今さら私が話すまでもない超メジャーな疾患ではありますが、これについても解説しておきましょう。
時は遡り、1950年代。
戦時中~戦後の過度な森林伐採により、日本の山地は著しく荒廃していました。
山地の復旧や、高度経済成長期における木材需要の増大などの観点から、
「成長が早く、林業的に扱いやすい樹木が欲しい」という声が高まっていました。
そこで戦後に植えられまくったのがスギとヒノキです。
それなりに丈夫で加工に適し、成長も早く、おまけに日本の気候にもバッチリ合致していたため、
どうぶつの森のしずえさんもドン引くペースで日本中の土地という土地にスギとヒノキが植えに植えられまくりました。
結果、現在の日本の国土の7割は森林なわけですが、
そのうち4割が人工林、そして人工林のうちの7割をスギ・ヒノキが占めております。
掛け算すると日本の国土面積の約2割がスギかヒノキということになります。
もしかして俺たちはスギとヒノキを養うために日本にいるのでは…?(気付き)
ともあれ、これで材木も手軽にゲットできるし山に緑も増えました。日本は平和になった、めでたしめでたし。
しかし1963年春、ある一人の耳鼻咽喉科医が異変に気付きました。
彼の名前は斎藤洋三。
出典:JOHNS
栃木県日光市(スギ林がめっちゃ多い)の病院に勤務していた斎藤先生は、
毎年3~4月に限って鼻・目のかゆみ、くしゃみ、鼻水といった症状を訴える患者が異常に増えることに疑問を抱きます。
ブタクサなどの花粉によるアレルギー症状(花粉症)が存在すること自体は、日本でも1957年の時点で既に報告されていましたし、
さらに1960~1961年の調査でスギなどの花粉が季節性に急増することも分かっていました。
そこで斎藤先生は「何かの花粉のせいでは?」という仮説をもとに日光市の空気中にスギ花粉が飛散していることを突き止めます。
さらに患者への皮内反応や鼻粘膜誘発試験などを経て、
ついに「スギ花粉によるアレルギー性鼻炎」の存在を医学的に立証し、1963年冬に学会で発表します。
これが世界初のスギ花粉症の報告となったのでした。
この時点ではまだ知る人ぞ知る程度の存在でしたが、1970~1980年代にかけて発症者数が急増し、
1983年には東京都が花粉症の対策委員会を設置するほどの社会問題となりました。
毎年、花粉症患者がスギの木に対し呪詛を吐くのがある種の風物詩のようになっている節がありますが、政府もただ手をこまねいているわけではなく、
「花粉を出す木を伐って利用する」「花粉を出さない品種に植え替える」「スギ花粉の発生を抑える技術の実用化」を3本柱とした対策が行われています。
とはいえ国土面積の2割を占めるスギ・ヒノキ全部をケアするのは並大抵のことではないので、2033年度までにスギ人工林を2割削減、2050年頃を目途に花粉発生量を半減させることが目標に織り込まれるなど、道のりはまだ遠そうです。
そんな花粉症がもたらす健康被害は、兎にも角にも「くしゃみ」「鼻水」「目のかゆみ」ですね。
ただ、くしゃみ鼻水目のかゆみ以外の長期的な健康被害(特に肺や心臓の領域で)となると、今のところそっち方向のコンセンサスは強くありません。
心血管系に負担を与えるのでは?という問題提起自体はありますが、今のところ裏付けは強くない感じです。
比較的コンセンサス強めなところで言えば、「喘息」「睡眠時無呼吸症候群」「睡眠障害」あたりは花粉症との関連性がそれなりに確実なようです。
もちろんこのへんの疾患も長期的には健康被害が無視できませんが、どちらかと言うとQOLや労働生産性の低下がより深刻と言って良いでしょう。
総じて言えば、
いつの間にか命にかかわる健康被害をもたらす黄砂と、
命にかかわることは少ないが日常生活に影響与えまくりの花粉症、
両者がナッパとベジータのごときタッグを組んで襲い掛かってくるのが2~5月らへんというわけです。
日本人、業を背負いすぎでは…?🐻❄️
黄砂が妊娠に与える影響
というわけでここまでが黄砂と花粉症の基礎知識。
ここからは、黄砂と花粉症が妊娠に与える影響について詳しく解説していきましょう。
まずは「黄砂が常位胎盤早期剥離の罹患率を上げる」というセンセーショナルな報告について検討してみると、
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