全力解説 vol.67「赤ちゃんが小さい」を考える

胎児発育不全(FGR)の診断基準が変わったよ!!!
やっきー 2026.06.17
読者限定

本記事の執筆は2026年6月。

日本の産婦人科診療における3年に1度の大イベント、産婦人科診療ガイドラインの改訂の季節でもあります。(厳密には5月発行)

産婦人科に限りませんが、医学におけるガイドラインというのはほぼ法律みたいなもんであり、

まあほとんどは微々たる改訂なのですが、たまーに尾田栄一郎がマガジンに移籍するくらいの大事件が起きるので油断ができません。

そんな今年のガイドライン改訂の目玉といえば、妊娠中期以降の妊婦さんを扱う産婦人科医の誰もが動揺した「胎児発育不全(FGR)」の定義変更でしょう。

胎児発育不全といえば、妊婦さん側は言うに及ばず、管理してる側の産婦人科医もかなり緊張するものなので、その定義にメスが入ったとなれば注目は必至です。

しかも「ちょっと数字変わりました」レベルの軽微な変更ではなく、元々の診断法の原型が半分も残ってないくらいの大改革であったため、

2026年5月に札幌で開催された日本産科婦人科学会で、超偉い先生たちによる壮絶な舌戦…というか言葉による殴り合いが繰り広げられたのは記憶に新しいところ。

ほの@田舎の産婦人科医
@ahono_obgy
日産婦オンデマンド視聴無事終了。

あの周産期のアレ

アツいディスカッションというか、口論だったな…
2026/06/03 20:28
0Retweet 64Likes
あおさわ
@Blue20Lee
@ahono_obgy いやぁ、めっちゃ聞き入ってしまいましたwあの現場にいたかったです…どんな剣幕で戦っていたのか…
2026/06/03 21:20
0Retweet 0Likes

あのバトル、そのへんの産婦人科医を捕まえて『今年の日産婦のアレ』と言えば伝わります。

出典:毎日放送

出典:毎日放送

というわけで今回は「赤ちゃんが小さいと言われた時に考えること」をお話ししつつ、

今年の日産婦のアレは一体何だったのかを振り返ってみましょう。

***

胎内の赤ちゃんが小さいということ

妊婦健診で超音波をあてて、赤ちゃんの推定体重を出した時。

「なんかちっちゃいな」と思った次の瞬間、産婦人科医は下記の2パターンのどちらに該当するかを考えます。

この記事は無料で続きを読めます

続きは、7876文字あります。
  • 『赤ちゃんちっちゃい』はどう変わってきたのか
  • パーセンタイルとSDって何?
  • 『赤ちゃんちっちゃい』診断の定義
  • 次第に広がる海外とのズレ
  • 『赤ちゃんちっちゃい』診断基準の軌道修正
  • FGRをめぐるアルティメットバトル勃発
  • 赤ちゃんちっちゃい時にどうすればいいのか?

すでに登録された方はこちら

提携媒体・コラボ実績

サポートメンバー限定
全力解説 vol.66「タクロリムスって不妊症に効くの?」
サポートメンバー限定
全力解説 vol.65「反ワクチンビジネスの歴史と現在をまとめてみた」...
サポートメンバー限定
全力解説 vol.64「縦で切る帝王切開と横で切る帝王切開の違い」
サポートメンバー限定
全力解説 vol.63「産婦人科医として、最も緊張した3つの瞬間」
読者限定
全力解説 vol.62「便秘」
サポートメンバー限定
全力解説 vol.61「前置胎盤と低置胎盤と前置血管の話」
読者限定
全力解説 vol.60「妊婦健診のときに産婦人科医が考えていること」
サポートメンバー限定
全力解説 vol.59「子宮頸がん検診のついでに超音波検査を受けるべき...