全力解説 vol.77「アブリスボと百日咳ワクチンは毎回打つべきなの?」

vol.75「産後に何度も風疹ワクチンを打つ必要はあるのか?」を公開したところ、こんなご質問が寄せられました。
🤰「第一子の時にRSウイルス・百日咳のワクチンを接種しましたが、現在の第二子でも接種すべきでしょうか?」
これね…難しい問題なんだこれ…🐻❄️
そのへんの難しいところをすっ飛ばして結論だけ言うと「やっきー的にはRSウイルスも百日咳も毎回接種がおすすめ、インフルとコロナは年に1回接種がおすすめ」です。
妊娠中におすすめのワクチンはブログ記事や『アレはホントにマジなのか』でも書いた通り、
「インフルエンザワクチン」「コロナウイルスワクチン」「RSウイルスワクチン」「百日咳ワクチン」の四種類です。
…が、国によっては対象や接種歴次第で推奨度がちょっと変わったりするため、
医学的な正確性を優先すると「一律で毎回接種がおすすめとは言い切れない」というものすごくモゴモゴした答えにならざるを得ないのです。
しかしもう一度言いますが「RSウイルスも百日咳も毎回接種がおすすめ、インフルとコロナは年に1回接種がおすすめ」です。
今日はそんなモゴモゴする話について。

①インフルエンザワクチン
先日、ふらいと先生がレター記事を執筆されていた通り、今年(2026年)は例年よりもだいぶ早くインフルエンザが流行しています。
結果、ワクチン需要が前倒しになった影響でインフルワクチンが一時的に欠品した病院などもあったようです。
とはいえこれは全国的に品薄になってるわけではなく、一時的なものです。予定供給量はしっかり確保されてるので「ワクチンが足りないかも」と過度に心配される必要はありません。
そういや2019年に『鬼滅の刃』が爆発的に流行りすぎて書店という書店からコミックスが全部消えた事件がありましたが、あのタイミングで最新刊(18巻)の初版が100万部に達したそうです。
羨ましい。私の本の初版は数千部だってばよ。100万部って何部?100万部ってこと?
そして2026年シーズン用のインフルワクチンの合計供給量は100万どころか約5,190万回分のようです。バイアルを縦に積んだら900kmくらい、宇宙ステーションの約2倍の高さになります。インフルワクチンの生産能力高すぎでは。
というわけでインフルワクチンが足りなくて困る事態には今のところならなさそうなので、良きタイミングで受けに行きましょう。

インフルエンザウイルスは年ごとに流行する株が変わりますし、効果も少しずつ落ちていくため、その年の株に対応したワクチンを接種するのが一番です。
よってインフルエンザに関しては、前回の妊娠で接種したかどうかはあんま関係なく、その年の分を接種できているかどうかの方が大事です。
接種のタイミングは、厚労省の推奨は「12月中旬までに」、日産婦ガイドラインの推奨は「10~12月中旬頃が理想」としているので、まあそのくらいでいいんじゃないかな🐻❄️
ちなみに、たとえば「2026/27シーズン用のインフルワクチンを接種した⇒その直後に妊娠発覚⇒妊娠後に再接種」といった形での接種も国によって推奨が異なりまして、
アメリカCDCは「妊娠したからといって同じワクチンを打たなくていい」とし、
オーストラリアのImmunisation Handbookでは「胎児を保護するために妊娠中に再接種するべき」としています。
というわけで、同一シーズン内での再接種についてはお好みでOKです🐻❄️
②コロナウイルスワクチン
そんなインフルが流行っている裏でこっそりと、しかし確実に流行しているのがコロナです。
先日の質問募集スレッドにもコロナウイルスワクチンに関するご質問が寄せられ、まだまだ関心の高いトピックだと改めて感じます。
そして再三申し上げている通り、コロナは未だにクソ怖い病気であり、
ワクチン普及や免疫により死亡数こそ減少したものの、発症者の6%に長期的な後遺症をきたす「Long COVID」を起こして日々の生活を著しく害します。
(繰り返し書きすぎてどの媒体に書いたか忘れたレベル)

そんなコロナワクチンの妊娠中の扱いについては各国で温度感が異なりますが、
ACOG(アメリカ産婦人科学会)は「秋~冬の呼吸器感染症の流行期にインフル・コロナワクチンを打つべき」としています。
我らが日本産科婦人科学会はというと、2025年8月の「妊婦に対する新型コロナウイルスワクチン接種について」で「令和4年1月~8月の重症化率・致死率が妊婦を含め低かった」ことを理由に一律のコロナワクチン接種を推奨しないという意味不明な立場をとった(重症化リスクがある人への任意は引き続き推奨)のですが、
そりゃワクチンが普及した時期のデータだからそうなるだろうよとしか言いようがなく、加えてWHOもACOGも接種推奨なので、
私のスタンスも引き続き「妊娠中は秋~冬頃にコロナワクチン打っとくべし」です。
どうでもいいけど、厚労省の推奨が「インフルは12月中旬まで」「コロナは秋~冬」と表現がずれてるのが超気になる。
たぶん厚労省の人は聴き終わったCDを別のケースにしまうのが気にならないタイプと見た。形兆の兄貴とは仲良くなれなさそう。

出典:ジョジョの奇妙な冒険 第4部
そんなコロナワクチンですが、インフル同様に「その年ごとの株」が存在し、
2026/27シーズンだとLP.8.1、XFG、NB.1.8.1などがワクチンの抗原株(系統)として推奨されています。
なんか謎のアルファベットが並びますが、「デルタ株」「オミクロン株」などが一族の名前、「LP.8.1」「XFG」などがその中に属する家族の名前という認識で大丈夫です。
ちなみに「オミクロン株」以降新しいギリシャ文字の名前が登場してない理由ですが、
WHOが2023年3月に「新しい超ヤベー奴が出てくるまではオミクロンの亜系統として扱う」というルールに変更したためです。
ストリートファイターⅡが出たあとにダッシュ⇒ターボ⇒スーパー⇒ⅡXとマイナーチェンジ版が出まくったのと同じです。違うか。
それはそうと、コロナはインフルほどにはLP.8.1などの系統の違いを意識する必要性は低いです。
というのも、「感染や発症を予防する効果」は系統の違いに左右される可能性がそこそこありますが、
よって、マジの専門家以外はコロナワクチン選びの際に系統まで気にする必要はないです。
そもそも接種したワクチンの系統に感染するかどうか分かんないので。


詳しくはコロナワクチン全種類解説記事をご参照ください🐻❄️
(2026/27シーズン用に追記修正しました)
③RSウイルスワクチン
RSウイルス母子免疫ワクチン、アブリスボ。
ここがかなりややこしいポイントです。
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