全力解説 vol.15-2「ブライダルチェック 男性版」
前回、全力解説 vol.15「ブライダルチェックでは何を調べれば良いの?」という記事を執筆したところ、
「男も結婚前・妊活前に受けるべき検査は無いのか?」というコメントがいくつか寄せられましたので、
今回はこれの男性版について述べさせて頂きましょう🐻❄️
結論から申し上げますと、男は結婚前・妊活前の検査の重要度があんまり高くないです。
少なくとも「大多数の人が受けるべき検査」となると1つしかありません。(後述します)
それではvol.15の記事と同様に、男がブライダルチェックを受ける必要性が低い理由と、
男性のブライダルチェック項目としてよく挙げられる検査について解説しつつ、比較的受ける意味の大きい検査項目について最後に述べていきましょう。
男性がブライダルチェックを受ける必要性が低い理由
さて、具体的な検査項目を見ていく前に、
男性がブライダルチェックを受ける必要性が(女性に比べて)低い理由について述べます。
ちなみに私は女性という時点で最大限に尊重すべき存在と考えており、
「女性の健康を支える仕事をしよう」と思い至って産婦人科を志すことになった反面、
乳児を卒業したあたり以降の男どもに関してはその辺で適当にウンコでもして過ごしてれば良いという女尊男卑過激派のシロクマではありますが、
今回の記事の意図はそういう話ではありません。念のため。
では何故、男はブライダルチェックを受ける必要性が低いと言えるのでしょうか?
・女性は不妊症の原因にも健康へのリスクにもなる疾患が多い
「ブライダルチェック」というくくりで考えた場合に最も大きい理由がこれでしょう🐻❄️
女性の不妊症の原因となり、かつ妊娠の希望が無かったとしても健康に悪影響となる疾患は枚挙に暇がありません。
例えば、子宮内膜ポリープや子宮粘膜下筋腫。
これらは超音波で比較的容易に検査できる疾患で、着床を妨げる等の理由で不妊症の原因となり、かつ妊娠の希望が無くとも過多月経や月経困難症という形で女性のQOLを下げてきます。
出典:日本産科婦人科学会
他にも、子宮内膜症。
これも卵巣や卵管を癒着させて不妊症の原因となり、かつ月経困難症や、最悪の場合は悪性化という形で女性の健康に悪影響をもたらします。
まだまだあります。多嚢胞卵巣症候群。
これは排卵を阻害することで不妊症の原因となるだけでなく、無治療のままだと長期的に糖尿病などの生活習慣病リスクを上げるほか、子宮体癌などの原因にもなります。
というわけで、女性については「不妊症の原因にも健康へのリスクにもなる疾患」が多数存在し、
しかもそれらの診断がわりとローコストで済む(問診や超音波だけでも疾患がそれなりに特定できる)というメリットがあるのです。
これに対して男は不妊症の原因となり、かつ健康へのリスクもある疾患が女性に比べて少なく、相対的に検査の必要度が低いというわけです。
・定期健診でこと足りる
いやいや、男にだって「不妊症の原因にも健康へのリスクにもなる疾患」が存在するだろう?
と思われるかもしれません。
確かに存在はします。
一応、この条件を満たす最大の疾患とも言うべきものが「糖尿病」ですが(神経障害による逆行性射精や血管障害による勃起不全などの原因となる)、
わざわざブライダルチェックを受けるまでもなく糖尿病は定期健診の対象疾患です。
つまり、少なくとも糖尿病に関しては、きちんと定期健診を受けられていればとりあえずそれで充分と言えます。
出典:糖尿病情報センター
とはいえ結婚や妊娠・出産となるとパートナーや子供の健康に影響を与える可能性もあるわけなので、
女性のブライダルチェックと同様、もっと詳しく知っておきたいという場合もあるでしょう。
というわけで、男性のブライダルチェックとして挙げられる検査について解説していきます🐻❄️
といっても、検査項目自体が女性に比べるとだいぶ少ないです。