全力解説 vol.15「ブライダルチェックでは何を調べれば良いの?」

50施設が実施している検査項目を調査!結婚前・妊活前に調べておきたいこととは?
産婦人科医やっきー 2024.11.23
読者限定

読者の方からご質問を頂きました。

🤰「妊活前にチェックしておいた方が良いことはありますか?」

🤰「ブライダルチェックをしようと思うのですが、病院によって項目が違いすぎて何を受けたら良いのか迷います」

***

「ブライダルチェック」、直訳で「花嫁の検査」となりますが、

これは要するに「結婚前や妊活前などに子宮や卵巣などに何らかの病気がないかチェックしとこう」という意図で行われる検査のことです🐻‍❄️

「不妊症の検査」ではありません。一部の項目が被ることも事実ですが。

そしてこのブライダルチェック、病院ごとに検査項目がめちゃくちゃ違います。

医学的に妥当性のある項目の検査を推奨しているところもあれば、

オプションの選択肢がいろいろあって予算の範囲で検査できるところもあります。

ただ、中にはその検査して一体何の役に立つんや?という検査をしてるところもあったり、

もう露骨に金儲けのことしか考えてないなこの病院、と思うところもあります。

ただ、これらを一般の方々が取捨選択するのは非常に難しいでしょう。

そんなわけで本日は「ブライダルチェックでは何を調べれば良いの?」というテーマでお届けしていきましょうか🐻‍❄️

***

どんな検査項目があるのか?

さてさて、まずは大前提として知っておいて頂きたいのですが、

「ブライダルチェック」は正式な医学用語ではありません。

病気ではないので保険もききませんし、私は(父のクリニックの手伝いを除き)総合病院にしか勤務したことがなく、ブライダルチェックをやったこともありません。

そのため、「ブライダルチェック」と一言で言っても、具体的にどんな検査をするかはその病院ごとの裁量に委ねられているため、

「〇〇を検査しなければならない」的なルールは全くありません。

つまり、超音波検査をやろうとも、血液検査をやろうとも、

あるいは「あだち充キャラクタークイズ」を出してこようが、

そこのクリニックの院長が🧔‍♂️これがワシのブライダルチェックである」と言えばそれはブライダルチェックなのです。自由なのです。

ちなみに「ブライダルチェック(Bridal check)」という言葉自体、和製英語とまでは言いませんが英語圏において一般的な言葉とも言いがたく、

あちらでは「Pre-marital health check-up」などと表現することが多いようです。

まあそんな具合なので、具体的にどんな項目が「ブライダルチェック」として行われているのか、正直なところ私も実態が把握しきれていません。

これでは記事がかけないぞ🐻‍❄️

…というわけで、これを書いている2024年11月16日時点のGoogleで「ブライダルチェック」で検索し、

出てきた上位50の病院・クリニックで行われている検査を全てリストアップしてみました。

その結果がこちらです(病院名と料金にはモザイクをかけています)↓

都会にある有名なクリニックから、Googleに金払ってるかSEOが上手いかで表示されやすいクリニック、

そして胡散臭い広告ばっか打っててウンコみたいな医療をやってることで有名な某クリニックまで非常にバリエーション豊かで楽しい作業でした(棒)

また、お求めやすいお値段のところからボッタクr…とっても丁寧な検査をしてくれるところまで、平均すると23676円という料金設定でした。

まあ妥当なところでしょう🐻‍❄️

この一覧表、私だけで独占するのも勿体ないですが、全てを無料で公開するのも憚られる内容なので、

サポートメンバーの方だけがご覧頂ける「質問募集スレッド その7」のコメント欄に無修正版の一覧表PDFファイルを載せておきます。

各クリニックが普通にホームページが公表してる内容ですし、これ自体は別に良いはず🐻‍❄️

これ、一般の読者様以上に産婦人科医の方が楽しめる内容かもしれません。とりあえず私は印刷して父にプレゼントしときました。なんかえらいテンション上がってました。

なお、いくつかのコースから検査項目を選べるタイプのクリニックも多かったですが、

これについては11月16日に行ったサポートメンバー限定ライブの視聴者の皆様からのコメント私の勘を頼りにコースを選択しております。

というわけで、ここで挙がった各項目について検査の概要を解説しつつ、必要度を以下のA~Dの採点で評価していきましょう🐻‍❄️

(採点基準は私の独断と偏見です)

A…文句なしに必要な検査。ブライダルチェックが目的なら是非やっておきたい。

B…それなりに有用な検査。全員に必須とまでは言えないが、選択肢には十分に入り得る。

C…必要性の高くない検査。有用な場面もあるが優先順位は低い。

D…ほとんど不要な検査。これが役に立つ場面はごく限定的。

この記事は無料で続きを読めます

続きは、16601文字あります。
  • 1.超音波
  • 2.子宮頸がん検診(子宮頸部細胞診)
  • 3.子宮体がん検診(子宮内膜細胞診)
  • 4.基礎体温
  • 5-A.クラミジア
  • 5-B.淋菌
  • 5-C.トリコモナス
  • 5-D.カンジダ
  • 5-E.ヒトパピローマウイルス(HPV)
  • 5-F.腟分泌物検査
  • 6-A.麻疹
  • 6-B.風疹
  • 6-C.水痘
  • 6-D.おたふく風邪(ムンプス)
  • 6-E.トキソプラズマ
  • 6-F.サイトメガロウイルス
  • 6-G. B型肝炎
  • 6-H. C型肝炎
  • 6-I.梅毒
  • 6-J.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)
  • 6-K.ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)
  • 7-A.女性ホルモン
  • 7-B.抗ミュラー管ホルモン(AMH)
  • 7-C.甲状腺ホルモン
  • 8-A.血液型
  • 8-B.血算(貧血)
  • 8-C.耐糖能
  • 8-D.肝機能・腎機能
  • 8-E.尿検査
  • 8-F. Th1/Th2比
  • やっきーの総評

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