全力解説 vol.25「腸活って意味あるの?」

やたら良いことばかり言われがちな「腸活」の効果を検証する
産婦人科医やっきー 2025.02.07
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こんにちは!

産婦人科医やっきーです!

今回の記事のテーマは、読者の皆様からのアンケートで決定しました。

https://x.com/yacky_sanfu/status/1882775495949066700

https://x.com/yacky_sanfu/status/1882775495949066700

ここ数年、意識高い系の健康法として急激に広まった感のある「腸活」

「腸活」は医学用語ではないのでハッキリした定義があるわけではありませんが、

ざっくり言うと「健康の基礎である腸内環境を整えるために、食事などの生活習慣を見直す」的な感じです。

もうちょい具体的に言うと、「発酵食品などで善玉菌を増やして、食物繊維を摂ることで善玉菌が住みやすい環境にしよう」といった趣旨の健康法ですね。

健康系の話題が8割ぐらい間違ってることでお馴染みの某YouTube大学が一時期、やたら腸活系の題材にご執心だったことも記憶に新しいところです。

(そしてこの記事を書くために文献を死ぬほど調べ尽くした今だから言えますが、9割間違ってた)

確かに食事と排泄は人間にとって…というかあらゆる動物の生命活動にとって重要な存在ですし、

そこに深い関わりを持つ「腸」に意識を向けよう、という発想自体は大いに賛同できます。

しかしその内容のキャッチーさや「医学的な定義が曖昧」という要素、

そして「これは医薬品じゃなくて食品orサプリだから!」という逃げ道の存在がニセ医学・疑似科学ビジネスの格好の餌食になってしまっているのも事実。

それも、「免疫力をアップ」くらいならまだギリギリ許せるとして、

「デブ菌と痩せ菌」だの「花粉症・アトピーが治る」だの「腸もみ」だのと称して謎の施術や効果不明の食品・サプリを売りつけるなど、カスみたいなニセ医療の温床にもなっている始末です。

ただここでひとつ注意して頂きたいのが、「全ての腸活には意味がない」と言っているわけではなく、

ごく一部の腸活については価値があるものも存在する、と考えています。

私自身、納豆もキムチもヨーグルトも大好きですし🐻‍❄️

しかし腸活というものに対し、全体的には懐疑派です。

あらゆる腸活のうち、ざっくり20%くらいは「一定の有効性がありそう」「意味があるかもしれない」と考えていますが、

残り80%については「現時点で判断できない」と「信用してない」のごった煮状態です。

てなわけで、本日は「腸活って意味あるの?」というテーマで、

現時点での腸活に関する研究やエビデンスを整理しつつ、私やっきーがギリギリ信用している腸活とは何かを解説していきましょうか。

「腸内フローラが不妊に影響するかも」という話の真偽や、その対応法についても扱います🐻‍❄️

***

「腸活」の歴史

さて、まずは当ニュースレターではおなじみ、

「腸活」などの謎単語が出てきた時には歴史を遡ってみましょう。

まず、「腸活」という言葉ができるより遥か前からそれっぽい概念はありまして、

ロシアのイリヤ・メチニコフ博士が1907年に出版した「The Prolongation Of Life: Optimistic Studies(不老長寿論)」で初めて言及されました。

ここでメチニコフは、

👴「腸内にいる『腐敗菌』が老化の原因になっているのだ」

👴「てことは『腐敗菌』の活動を他の菌で抑え込めれば老化を止められるんじゃね?」

👴「長寿が多いブルガリアの人が食ってるヨーグルトに乳酸菌がいっぱいいる!!!これやがな!!!」

という感じでヨーグルトを食いまくる生活を自ら開始。

そしてそれが一般市民にも伝播。

これが今なお続く「ヨーグルトは体に良い」という説の発祥です。

これだけ聞くとメチニコフ、現代でもよくいる「これさえ食えば健康になれる」系の謎医療インフルエンサーっぽく見えなくもありませんが、

ノーベル生理学・医学賞を取ってる微生物学者なので、そりゃ影響力があるのも当然です。

***

その後、1930年頃に日本でも代田稔(しろたみのる)博士が胃酸で死ににくい乳酸菌の培養に成功。

これが後に「乳酸菌シロタ株」と名付けられ、皆様もご存知の「ヤクルト」として売り出されることになるわけです🐻‍❄️

出典:ヤクルト

出典:ヤクルト

さらにここから数十年かけて「腸内細菌叢にはバランスがある」とか「腸内環境を整えると健康に良い」といった概念が徐々に形成され、

1989年にフラー博士が「プロバイオティクス」=「善玉菌を摂れば腸内環境が良くなる」

1994年にギブソン博士が「プレバイオティクス」=「善玉菌のエサになる食物繊維を摂れば腸内環境が良くなる」

1995年にこれらを統合した「シンバイオティクス」が提唱され、現在の「腸活」の基礎になっていったわけですね。

と考えるとヤクルトが1935年に発売されたのって凄まじい時代の先取りっぷりですね。

やはりヤクルト…ヤクルトは全てを解決する…!

出典:サンスポ

出典:サンスポ

***

とまあ、ここまでの話は分からんでもないとして、

問題は「腸活」という謎の単語により胡散臭さが急激に一兆倍になったことだと思います。

私が調べた限りですが、「腸活」という単語の初出は2013年9月頃

某自然派カフェが自社製品として販売した「腸活美茶」と呼ばれる商品です。(今はもう売っていません)

名前が某大手メーカーの「爽〇美茶」を思い起こさせますが気にしたら負けです。

ではこのお茶の前に似たような言葉が無かったのかというとそうでもなく、

「腸活」の前身となる概念として「菌活」という言葉もあります。

最近ちょっと死語になりつつありますが、「菌活」に聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか。

「菌活」という言葉を誰が使い始めたのかまでは調べが付きませんでしたが、時期は明確に2013年4月頃となっています。

2013年4月22日に女性の美容や健康に関する情報サイト「Peachy」で『“菌”の美容・健康効果とは? 継続的に菌を食べる「菌活」に注目集まる』という特集が組まれており(Wayback Machineによる復元)

さらにレタスクラブの2013年9月25日号(9月10日発売)でも「食べて元気になろう!きのこで菌活レシピ-代謝が上がる!腸がきれいに!太らない!」という特集記事が掲載されています。

出典:KADOKAWA

出典:KADOKAWA

ただし、この「菌活」は現在のいわゆる「腸活」とは微妙に雰囲気が異なりまして、

「キノコや発酵食品などで菌を積極的に摂ろう」(←まあわかる)

「キノコは菌類なので、キノコを食べると菌のパワーで元気になって痩せることもできる!」(←わからん)

といった趣旨のものでした。

上記の2資料にも共通していますが、「菌活」時代においては「キノコ」がえらく重視されていた形跡が見受けられます。

が、この「菌活」という言葉の受けがイマイチだったからなのか、

あるいはシンバイオティクスの日本語訳としてより適切な単語が必要になったからなのかは不明ですが、

「菌活」の誕生から半年足らずで「腸活」が生まれ、一気に意識高い系や謎健康ビジネスの連中が「菌活」を捨てて「腸活」にシフトしていったわけです。

そして至る、現在。

***

なぜ私が腸活に懐疑的なのか

さて、私が何故この腸活(≒シンバイオティクス)に対して「自身でも多少やってる」と言いながらもいまいち煮え切らない態度を取っているかと言いますと、

「腸活」を科学的に考えた時に大きな問題点が2つありまして、

1つ目が「何をどれだけ摂るとどういうメリットがあるのか不明」という点、

そして2つ目が「反証が難しい」という点です。

例えば、「食物繊維を多く摂って発酵食品を食べることにより、〇〇(疾患)の罹患リスクが〇〇%低下する」とか「平均寿命が〇歳延びる」といった具体的なデータがもしあればそれを基に建設的な議論も始められるんですが、

だいたいが「免疫力アップ」とか「美容に良い」などの具体性のない効果ばかりが羅列しています。

効果がはっきりしてないものに対し、肯定も否定もできません🐻‍❄️

(後述するように具体性のあるデータも無いことはないですが、シチュエーションが限定的すぎて、少なくとも「健康に良い」と断定することは難しいです)

「反証が難しい」というのはもっと厄介な話で、

例えば「コロナワクチンは毒である!」といったアホみたいな言いがかりに関しては、

🐻‍❄️「ワクチン接種群と非接種群に分類して統計学的に罹患率や全死亡率などでデータを比較すればええんやで」と反証を示せますが、

腸活に関しては言ったもん勝ちなところがあり、

懐疑派が「いやいや腸活にそこまで劇的な効果は無いよ」と言いたくてもそれを裏付けるデータ自体が取りにくいのです。なぜなら「腸活」に具体的な定義が無いから。

さらに言いますと、「腸活に良い」とされている食品(食物繊維の豊富な食品や発酵食品)はそもそも腸のことを考えるまでもなく栄養バランス的に優れていることが多いので、

偏った食習慣(スナック菓子やインスタント食品を食いまくるとか)と比較して疾病リスクが改善したとしてもそれが腸内環境に良いからなのか単に栄養バランスが整った食事だからかの区別が付けづらく、

結果として腸活研究が難しくなる、というわけですね。

また、基礎研究として腸内細菌が神経伝達物質のドーパミンやセロトニンを生み出しているなどの実験結果もあるにはありますが、

現状、「ということは腸内環境を良くすれば人間の健康に繋がる」とはまだまだ到底言えない段階の話です。

某YouTube大学でもこの説が取り沙汰されてましたが、

腸で作られたドーパミンやセロトニンは脳に届きません。血液脳関門を通過できないので。

また、ヒトの食べ物は全動物の中でもだいぶ特殊な部類に入るせいで、

薬剤の有効性の検査と違って人間の食べ物に関する研究は動物実験が難しいという側面もあります。

チョコレートもコーヒーもタマネギもアボカドもブドウも、ほとんどの哺乳類にとっては毒物で、

我々ホモサピエンスの祖先は「他の動物にとって毒になるものを食えるようにする」という方向で進化をしましたからね🐻‍❄️

こういった理由で「腸活」は全肯定もできない代わりに全否定することもできず、

腸活の健康効果が実際どの程度なのか、具体的にどんなメリットがあるのかの全貌が誰もいまいちよく分かっていない状況が今も続き、

この曖昧さがニセ医療ビジネスにとって格好の標的となっているというわけです。

では、現時点で腸活についてはどのようなエビデンスがあるのか、具体的に見ていきましょう🐻‍❄️

ここからの記載に関しては、National Institutes of Healthのファクトシート「Probiotics」と、

「THE GI FOREFRONT(16巻2号、2020年)」における京都府立医科大学・内藤裕二先生と兵庫医科大学・福井広一先生(どちらも消化器内科学准教授)のディベート記事「日常診療でのプロバイオティクスの使用」この上なく丁寧にまとめられていたため、

主にこの2記事を基に解説していきます。

***

①急性胃腸炎

・ポジティブなエビデンス

いわゆる「感染症による下痢」ですが、整腸剤(≒善玉菌の錠剤)を飲む事によって下痢の持続時間が平均25時間短縮し、4日以上続くケースを59%減らせたという研究があります。

(参考:Feizizadeh S, Salehi-Abargouei A, Akbari V. Efficacy and safety of Saccharomyces boulardii for acute diarrhea. Pediatrics 2014;134:e176-91.)

・ネガティブなエビデンス

しかし、急性胃腸炎で救急外来を受診した乳児に対しLGG乳酸菌製剤を投与した試験では治るまでの期間に有意差が出なかったという報告もあり、

(参考:Freedman SB et al. Multicenter Trial of a Combination Probiotic for Children with Gastroenteritis. N Engl J Med 2018;379:2015-26.
Schnadower D et al. Lactobacillus rhamnosus GG versus Placebo for Acute Gastroenteritis in Children. N Engl J Med 2018;379:2002-14.)

「そもそもウイルス性の下痢の予後は十分な補液ができるかどうか次第だから、急性胃腸炎患者全員に整腸剤を出すのは費用対効果に合ってないんじゃね?」と言及されてしまっています。

何より、「急性胃腸炎に効くかも」と言われている整腸剤は日本国内の製剤と菌種も菌量も違うため、必ずしもポジティブな結果を鵜呑みにできるとは限りません。

***

②抗菌薬関連下痢症

・ポジティブなエビデンス

「抗菌薬関連下痢症」、読んで字のごとく「抗菌薬を使ったあとに起きる下痢」のことです。

めちゃくちゃ簡単に言えば、他の感染症の対策として抗菌薬を使ったら腸内の善玉菌まで死んで下痢になった、的な感じです。

その代表例が「クロストリジウム・ディフィシル」という菌によって起きる「偽膜性腸炎」という感染症で、

このディフィシルくん自体は普段は他の腸内の菌を押しのけてまで大暴れするほどのガッツは無い奴なんですが、

他の病気で抗菌薬を使って腸内の菌のバランスが崩れた時にたまーに大暴れする性質を持っています。

しかし、抗菌薬を使うときに一緒に整腸剤を投与しておくと抗菌薬関連下痢症の発症率が22.4%→12.3%に低下したことが確認されましたし、

(参考:Szajewska H, Kolodziej M. Systematic review with meta-analysis: Saccharomyces boulardii in the prevention of antibiotic-associated diarrhoea. Aliment Pharmacol Ther 2015;42:793-801.)

日本化学療法学会・日本感染症学会のガイドラインでも「プロバイオティクスを偽膜性腸炎の予防として推奨する(推奨レベル:弱)」と結論付けられています。

・ネガティブなエビデンス

ただしこれらに関しても、やはり過去の研究がプロバイオティクスの菌種・菌量に関して一定していないので、

全部が全部、鵜呑みにできるかというと何とも言えません🐻‍❄️

加えて、偽膜性腸炎の「予防」には整腸剤が多少なりとも効果があるっぽいことは分かりましたが、

「治療」と「再発予防」に関しては有効な研究結果が得られておらず、上記の国内ガイドラインでも推奨されていません。

なので「予防についてもほんとに意味あるの?」という意見もあったりするとこでもあります。

***

③過敏性腸症候群

・ポジティブなエビデンス

「過敏性腸症候群」とは、特に何が感染してるわけでも、腸の機能に異常があるわけでもないにも関わらず腹痛や下痢・便秘をきたす病気です。

要するになんか知らんけどお腹が痛い病気です。

これまた23件のRCTをまとめたメタ解析によって、プロバイオティクスで21%の症状改善が見込まれたとされています。

(参考:Ford AC et al. Efficacy of prebiotics, probiotics, and synbiotics in irritable bowel syndrome and chronic idiopathic constipation: systematic review and meta-analysis. Am J Gastroenterol 2014;109:1547-61; quiz 6, 6)

・ネガティブなエビデンス

しかしこの結果もまた、上述したメタ解析によって「効果の大きさは控えめ」と言及されていますし、

菌種によっては過敏性腸症候群に有効ではないことも同時に示されています。

***

④慢性便秘症

・ポジティブなエビデンス

いわゆる便秘に整腸薬は効くのか?という話ですが、慢性便秘症診療ガイドライン2023の「BQ5-3 慢性便秘症にプロバイオティクスは有効か?」に対し、

「慢性便秘症においてプロバイオティクスは排便回数の増加に有効であり、治療法として用いることを推奨する(推奨の高さ2、合意率96%、エビデンスレベルB)」と結論付けられています。

・ネガティブなエビデンス

これに関しては特に否定的な意見がないので(有効性の強さに関しては諸説あるものの)、

総じて言えば「下痢にも便秘にも整腸剤は効く」とざっくり理解してしまって良いかなと。

***

⑤潰瘍性大腸炎

・ポジティブなエビデンス

潰瘍性大腸炎は大腸に炎症が起きて下痢や腹痛などにつながる病気ですが、

これについて整腸剤が寛解維持療法に効果的だったという研究結果が出ています。

・ネガティブなエビデンス

この潰瘍性大腸炎に関しては、ものすごく強力な追加検証も無いかわりに直接的な反証も無く、「ネガティブなエビデンス」と言えるものは特にありません。

ただし、潰瘍性大腸炎の親戚的な病気である「クローン病」に関しては、整腸剤が有効であるというエビデンスレベルの高い報告は現状ありません🐻‍❄️

***

⑥アトピー性皮膚炎

・ポジティブなエビデンス

妊婦さんや乳児に整腸剤を投与すると子どものアトピーが良くなる、なんて研究もありまして、

18歳以下・1070人の参加者を対象とした13件のRCTのメタ解析では整腸剤によってアトピーの重症度が有意に改善したことが示されています。

(参考:Huang R, Ning H, Shen M, Li J, Zhang J, Chen X. Probiotics for the treatment of atopic dermatitis in children: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Front Cell Infect Microbiol 2017;7:392.)

・ネガティブなエビデンス

ところがこれも菌種によって効くやつと効かんやつがある(定期)ことが同時に示されていますし、

別の2599人を対象とした39件のRCTのコクランレビューでは有意な効果が得られなかったと結論付けられています。

(参考:Makrgeorgou A et al. Probiotics for treating eczema. Cochrane Database Syst Rev 2018;11:CD006135.)

極めつけに、現行最新版である『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2024』における「3.11 プロバイオティクス・プレバイオティクス」の項目にも、

「予防方法として推奨できる段階にはない」

「治療効果に関しても(中略)一貫した結果にならない」

と記載されており、要するに腸活がアトピーに良いという話はいまいち支持されていません。

***

⑦その他もろもろの健康効果

・ポジティブなエビデンス

他にもプロバイオティクスの健康効果に関しては様々な研究がありまして、

「2型糖尿病患者に整腸剤を8週間以上摂取させると空腹時血糖値やHbA1cが有意に低下し、インスリン抵抗性も改善した」

「血中コレステロールの低下や高血圧の改善に寄与した」

「うつ病が改善した」

などなど、いろいろと良い感じの結果を示す研究が報告されています。

・ネガティブなエビデンス

しかしこれらは軒並み追試が行われてないor微妙なものばかりで、

良く言えば「将来はそういう知見が整う可能性もある」、

悪く言えば「今んとこ誰かが言っただけの理論」の枠を出ないものがほとんどです。

***

整腸剤(プロバイオティクス)のリスク

そもそも、「善玉菌を補充するなら不健康になんてならんだろ」と思われがちですが、

いくら基本的に良い奴といえど所詮、菌は菌です。人間とは別の生きもんです。

たまたま人間にとって悪さをする可能性が限りなく低いだけで、

乳酸菌ちゃんたちが「ウチらとホモサピエンスゎ ズッ友だょ( ´꒳`*)人(*´꒳` )」とプリクラに書き込んでくれたことは未だかつてありません。

具体例を挙げると、稀ではあるものの、

整腸剤で補充したラクトバチルス属(いわゆる善玉菌)が血液内に侵入したことで敗血症や心内膜炎が起きたという報告もあります。

(参考:Doron S et al. "Risk and safety of probiotics." Clin Infect Dis. 60, 129-34, 2015.
Mackay AD et al. "Lactobacillys endocarditis caused by a probiotic organism." Clin Microbiol Infect. 5, 290-292, 1999)

また、単にヨーグルトなどの発酵食品を摂るだけならまだしも、

医薬品として使われるタイプの整腸剤は抗菌薬の影響を受けにくいように耐性遺伝子を持っていることが多く、この耐性遺伝子が別の菌に伝播してしまい、

結果として抗菌薬が効きにくい厄介な病原菌を作り出してしまう可能性も報告されています。

(参考:Tannock GW et al. "Molecular characterization of a plasmid-borne (pGT 633) erythromycin resistance determinant (ermgT) from Lactobacillus reuteri 100-63." Plasmid, 31, 60-71, 1994)

てなわけで、科学的に不純物を排除したプロバイオティクスの研究でさえこういう状況なわけですから、

腸活の専門家()がよく言う「これさえ食べれば健康になれる」なんて美味しい話はこの世にありません。

確かなのは「食事の栄養バランスが大事」というごく当たり前の結論だけです🐻‍❄️

***

腸もみ

「腸もみ」とは、「お腹の上から腸をマッサージすることで腸が動き、腸内環境が整う施術」らしいです。知らんけど。

なんかやたら好意的に腸もみを褒めちぎってる研究もあったりしますが、人数が少なすぎたり患者層が偏ってたり盲検化をしてなかったりと、お世辞にも質の高いエビデンスがあるとは言えない状況です。

というか、腸を物理的に刺激することで腸内環境が整うってどういう理屈?

わざわざ揉むまでもなく、ジョギングでもすれば腸は動きまくるよ?

そもそもウンコが出るのは腸が普段からいっぱい動いてくれてるからだよ?揉む必要性がどこにあるの?

産婦人科だと子宮の摘出手術の時などに腸を直接触りまくるけど、術後の患者さんの腸はメチャクチャ健康になるってこと?むしろ術後の腸閉塞が心配で腸蠕動促進薬とか使ってるんだけど?

など、ツッコミどころは腐るほどあります🐻‍❄️

結論として「腸もみ」はニセ医療ビジネスと断じて良いわけですが、

何故こんなもんが存在するのか想像してみると、

「揉むこと」を主な施術行為としている鍼灸師や柔道整復師・マッサージ師内科的な医療行為(整腸剤や便秘薬を処方するなど)ができないので、

なんかよく分からんもっともらしい理屈を付けて「これで腸が整う」「宿便が排泄されやすくなる」などと言うしかないわけですね。

(※「〇〇の病気が治る」と謳ったら医師法や景表法に反するので、こういうふんわりしたことしか言えません。まあ違反してる奴いっぱいいるけどな!!

もっと端的に言えば、腸もみはお金のためならエビデンスなんてどうでもいい派の鍼灸師・柔整師のメシのタネに過ぎません。

当ニュースレターでは鍼灸師や柔整師(整体院)のクソ医療をたびたび指摘しているのでなんか恨みでもあるのかと思われそうですが、

まじめに患者さんの肩こり・腰痛などの診療に当たっている方については何も言うつもりはありませんし、そうした鍼灸師・柔整師の方には一定の敬意を表します。

ただ、あの界隈はこういうニセ医療ビジネスと相性が良すぎて、お前が揉まれて排泄されろと言いたくなるようなウンコが一定数居ますので、逐一こうして言及させて頂きます🐻‍❄️

「不妊整体」「子宝整体」などと抜かして不妊症患者さんが不妊治療に移行するまでの貴重な時間とお金をドブに捨てさせる輩は普通に地獄に落ちていい。

***

やっきーが信用している20%の腸活

というわけで、ここまで「腸活の大部分が信用できない理由」「一定のエビデンスがあるプロバイオティクスでさえ全幅の信頼を置けるほどでもない現状」について解説してきたわけですが、

そんな私やっきーが信用している数少ない「腸活」やそれに近い行為についてお話ししましょう。

あとは、不妊に関係するかも?と言われてたりする「子宮内フローラ」のエビデンス検証についても。

ここからの記述は私の主観が大部分を占めるので、サポートメンバー限定とさせて頂きます🐻‍❄️

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