vol.47「結局、どっち向きで寝たらいいの?」

私のもとには「わざわざ主治医に聞くほどでもないけど気になる疑問」がしばしば寄せられます。
「妊娠中に〇〇は食べていいの?」「胎盤を食べるのって意味あるの?」あたりはその典型と言えますが、
中でも定番の質問のひとつが「妊娠中は夜、どっち向いて寝てたらいいですか?」というものです。
そして確かにネット上ではまことしやかに、
上を向いてたらイカンとか、横を向くべきとか、いやいや左を向くのが一番だよとかいろいろ言われるわけですが、私からの結論はコレ。
「横向きに越したことはないけど、好きに寝たらええがな」です🐻❄️
てなわけで「(妊娠の有無を問わず)寝る時の向きが健康にどういう影響が出るのか」に関して現在分かっていることを丸ごと総ざらいしていきましょうか。
なぜヒトは仰向けで寝るのか?
まず最初に、特に役に立たない知識をひとつ🐻❄️
イヌもネコもウシもウマも、ほとんどの哺乳類はうつ伏せで寝ます。
(飼い犬・飼い猫とかがたまに仰向けになったりすることはありますが一般的とは言いがたい)
そんな中で「仰向け寝」が常習的に行われる数少ない例外が、
ヒトや一部の霊長類(チンパンジーやオランウータン)、あとはラッコくらいですね。

そもそも、自然界において仰向け(≒柔らかい腹部を露出する)で眠るというのは、
隙だらけで弱点をほっぽり出してるに等しい行為です。
緊急時の反応も遅れるので、他の肉食獣に襲われた時のリスクは甚大です。
また、ウマなどの大型四足動物は仰向けだと呼吸が難しくなる(腹部臓器で肺が圧迫されて無気肺が発生)ことが獣医学において重要な問題となっていますし、(参考)
ウシやヒツジのように反芻をする動物が仰向けで寝ると食べたものが気管に詰まります。(参考)

しかし、ホモサピエンスのご先祖である類人猿たちは樹上に巣を作るという方法で睡眠中の捕食を回避することに成功し、
かつ無気肺になるほどの大型動物でもなく、反芻もしないので、
全身を最もリラックスさせられる「仰向け」で寝るという方向で体が進化していったわけです🐻❄️
事実、座ったまま寝るヒヒと比較すると、
好きな姿勢で眠れるオランウータンの方が深く効率的な睡眠がとれているというデータもあるようです。
これに対し、ラッコが仰向けで寝る理由は簡単ですね。
ラッコは生活の大半が水に浮いた状態、かつ水上で寝ることが一般的なので、うつ伏せで寝たら息ができないからです。

あとめちゃめちゃ余談ですが、ラッコの生息地は北太平洋沿岸(ロシア東部やアラスカ南岸を含む)です。
そんな寒そうな海に四六時中浸かってて大丈夫かと心配になりますが、
ラッコの体毛は哺乳類で最高クラスに高密度(1平方センチあたり約10万本)であるおかげで優れた断熱効果+浮力を得ることができるそうです。
浮力に関しては肺がかなり大きいことも関係している模様ですが、
こうした体の構造によってラッコは海に浮きながら睡眠をとることが可能なわけですね🐻❄️
以上のことから、
マンガ『ガラスの仮面』において速水さんの婚約者・紫織さんが気を失いながら浮いてたことがありますので、
紫織さんの毛の密度は1平方センチあたり約10万本だということが証明されました。紫織さん…!

出典:ガラスの仮面 49巻
……というわけで、ここからはマジメな解説です🐻❄️
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- シムス位ってなに?
- 妊娠中の寝る向きについて
- ということは左向きで寝るべき?
- つまりどうすればいいのか?
- (非妊娠時)どっち向いて寝たらいいの?
- まとめ
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