全力解説 vol.54「初産婦は早産になりやすい?」
このニュースレターでは、サポートメンバーの方に向けて不定期で質問募集スレッドを設けているのですが、
その中で最近、こんなご質問が寄せられました。
🤰「一歳半の子どもがおり、第二子を妊娠中です。妊娠中に抱っこなどをする都合上、第一子よりも第二子の方が早産になりやすいというデータはありますか?」
これに対しXの方でも回答を行ったのですが、この下調べの過程で非常に興味深い論文が登場しました。
アムステルダム大学病院(オランダ)のブシュラ・クーラリ先生が2020年に発表したもので、細かいとこ全部すっ飛ばして結果の一部だけ抜粋すると
「自然早産のリスクは、第3子<第2子<第4子<第5子<第1子 の順になった」
というものでした。
同論文より。赤の棒グラフが「出産回数ごとの自然早産の割合(%)」を示している。P0は第一子、P1は第二子、P2は第三子…を表す。
これを見た時、なんやその結果は!?というのが率直な感想でした。
3<2<4<5<1ですよ奥さん。何この複雑怪奇な早産リスクの不等式。
こんな奇妙な大小関係を医学論文で目にすることはあまり多くありません。
2010~2014年のオランダにおける80万2119件の単胎出産が対象という超ビッグデータなので、その信頼度も充分に高いと言えます。
しかもこれ、直感にも反してます。
私自身、この論文を読むまで、今回の質問者様と同じく「第二子の出産は上の子を抱っこしたりするから在胎週数が短い傾向があるのかな」と思ってたので。
というわけで今日のテーマは「出産回数と早産リスクの関連性」です。
今回取り上げた論文以外にも、過去にどのような報告があったのかをまとめつつ、
なぜ今回の論文では3<2<4<5<1という結果が出たのかを考え、
そして「出産回数と早産リスクの関連性」をどう捉えれば良いのか、私なりの結論を出していきます。
いろいろ前置きをしましたが、要するにすっげえ面白い論文を見つけたからめっちゃ深く読み込んでみようというのが今回の趣旨です。
初産・経産・多産と早産リスクについて知りたい方はぜひどうぞ🐻❄️
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