全力解説 vol.21-4「妊娠中の食べ物NGリストを徹底検証してみた」その他もろもろ編

こんにちは!
産婦人科医やっきーです!
今回の記事は、4回目となる「妊娠中の食べ物NGリスト徹底検証」となります。
第1回は「①:生もの」「②:魚介類」「③:レバー・うなぎ」について、
第2回は「④:アルコール」について、
第3回は「⑤:カフェイン」「⑥:ハーブ・薬味類」「⑦:ポリフェノール」「⑧:激辛料理」について解説してきました。
第4回となる本記事のラインナップは以下の通りです。
⑨:ヨウ素の豊富な食べ物(ワカメ、コンブ、ひじき、ヨード卵など)
⑨-番外:イソジンうがい薬
⑩:大豆製品(豆乳、黒豆茶、ソイプロテインなど)
⑪:ハトムギ茶
⑫:トマト缶
⑬:グルテン(小麦)
⑭:砂糖
⑮:トランス脂肪酸(マーガリン、ショートニングなど)
⑯:ファーストフード
⑰:「体を冷やす」系の食材(キュウリ、ナス、トマトなど)
⑱:トリハロメタン(水道水)
⑲:食品添加物(人工甘味料、着色料、保存料など)
⑳:サプリメント
⑳-番外:合成葉酸サプリ
要するに、本記事執筆にあたり読者の皆様から情報提供を頂いたラインナップの残り全部です。
生ものとかアルコールとかカフェインとかはそれなりの文量を割いて解説してきたわけですが、
こんなにいっぺんに解説して大丈夫なのか?と思われるかもしれません。
大丈夫です。
ネタバレしますが、今回解説する食材は全部ほとんど問題ないやつです。
あからさまなデマが多すぎて解説することも特にないので。
てなわけで、文献ベースで具体的に解説していきいましょう🐻❄️
(前提知識を揃えるのが重要なので、部分的な抜粋やスクリーンショットの転載はご遠慮願います)
⑨:ヨウ素の豊富な食べ物(ワカメ、コンブ、ひじき、ヨード卵など)
ヨウ素は甲状腺ホルモンを体内で合成したりするのに欠かせない栄養素ですね🐻❄️
ワカメ、コンブ、ひじき、海苔、寒天などといった海藻類に多く含まれていることで知られています。

ヨウ素というのは日本人にとってなかなか特別な栄養素でして、
ヨウ素の摂取推奨量が0.13mg/日ほどとされている中、
海藻を摂る機会の多い日本人は約1~3mg/日ほどのヨウ素を日常的に摂取していると言われています。
そして過剰な量のヨウ素を摂り過ぎた妊婦さんに関して赤ちゃんの甲状腺機能に異常が出る例が報告されていることから、
厚生労働省は「非妊娠女性と同じ2.2mg/日を耐用上限量とする」と結論付けています。
ただ、個人的にはこの見解には少々懐疑的で、
というのも前述したように日本人の平均ヨウ素摂取量が1~3mg/日となっているわけでして、
どう考えても2.2mg/日の耐用上限量を上回っている妊婦さんは非常に多いにも関わらず、赤ちゃんに甲状腺機能異常が出現する頻度が特別に高いとは言えないので(数千人のうち1人程度)、
そこまで強く制限する必要性があるかと言うと微妙なところかなと。
日本産婦人科医会も「神経質になる必要はない」「昆布などを毎日たくさん食べる人は少し控える程度でいい」と結論付けていますし。

ひじき7gを食べただけでヨウ素含有量は2mgに達するくらいですし、
変にヨウ素を制限して栄養バランスが崩れるほうが不利益ですから、
日本産婦人科医会の見解に準じて、一般的な食生活において海藻やヨード卵などのヨウ素を特別に忌避する必要はないだろう、というのが私の見解です🐻❄️
ちなみに、よく言われるトリビアに「海藻を消化する能力を持つのは日本人だけ」というものがありますが、これは元々の論文の内容が誇張されまくって原型がほとんど残ってないデマです。
ザコシショウのモノマネくらい誇張されてます。
2010年にNature誌に論文掲載されたことで一気に有名になったこの説ですが、
生海苔の消化に限った研究であること(焼き海苔やワカメ・コンブ等は欧米人も消化可能)、
18人の北米人と13人の日本人しか研究対象になっていないこと、
極めつけは研究対象となった日本人でさえ13人中5人しか消化酵素を持っていなかったという内容であり、
ほとんどデマと言って差し支えない状況です🐻❄️
⑨-番外:イソジンうがい薬
水にちょっと入れてうがいをすることでバイキンを殺菌できる(?)でおなじみの例のアレ。
イソジンの殺菌成分=ヨウ素なので、ここに入れさせて頂きました。
2020年に大阪府知事が大した裏取りもせずに「イソジンのうがい薬がコロナ予防におすすめ」と発言したことで品薄・転売が社会現象になるなど、
コロナ禍でも色々ひと悶着があったのは記憶に新しいところですね。
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- ⑩:大豆製品(豆乳、黒豆茶、ソイプロテインなど)
- ⑪:ハトムギ茶
- ⑫:トマト缶
- ⑬:グルテン(小麦)
- ⑭:砂糖
- ⑮:トランス脂肪酸(マーガリン、ショートニングなど)
- ⑯:ファーストフード
- ⑰:「体を冷やす」系の食材(キュウリ、ナス、トマトなど)
- ⑱:トリハロメタン(水道水)
- ⑲:食品添加物(人工甘味料、着色料、保存料など)
- ⑳:サプリメント
- まとめ
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